リトグラフ(石版印刷)は18世紀末ドイツで発明された版画技法のひとつ。脂質と水の反発作用を利用し、筆で版に描いたままの絵を印刷できるようになりました。幕末の日本にも伝わり、明治には従来の木版印刷は生産性の高い石版へ移行してゆきます。
新技法は夢二にも影響を与え、肉筆・木版画になかった造形も生まれました。平面的な装飾のレタリングもその一例。新聞コマ絵デビュー以来、彼は印刷技術に利便性以上の価値を見出してきました。
海外でもマティスやピカソたち芸術家がやはりリトグラフに関心を示しており、この展覧会でも近代フランス美術を代表するおなじみシャガールを紹介します。夢二もシャガールも、印刷工房に足を運んでは仕上がりについて厳しい指示を繰り返したエピソードを持つ人。そのリトグラフは「絵画(下絵)のコピー」という考えとは無縁で、光のように変化に富む色や感覚的に配置された形から、自由に創作を楽しむ様子が伝わってきます。
どうぞ芸術作品としてのリトグラフの魅力をご堪能ください。
