『夢二画集 春の巻』(明治42年)は夢二最初期の作風をとどめる記念すべき処女画集であり、2009年は出版百周年にあたります。
夢二の画家人生の幕開けは明治38年、21歳の時でした。美術学校や画塾に入門経験のない夢二はその自由闊達な筆を持ち味とし、アマチュアとして新聞・雑誌に投稿したコマ絵が掲載の機会を得て、次第にその名を知られるようになります。コマ絵とは誌面に組まれる一コマの墨絵を言いました。その周囲の記事内容と結び付く挿絵と違い、コマ絵のみで独自の世界を完結させているところにおもしろさがあります。世間を諷刺するテーマも多く、墨一色のなかには若い夢二のメッセージが込められていました。コマ絵は夢二の原点です。それだけに現存例も多くありません。
この展覧会は、その原点の作風をとどめた「画集」「新聞」「雑誌挿画」を展示します。なかでも当館の新聞コレクションの一挙公開はこれが初めての機会。当時コマ絵がどんなふうに掲載されていたかがそのまま伝わる貴重な資料です。
そして、コマ絵の造形感覚は、後にどのように展開していったのでしょうか。絵手紙、挿絵原画、スケッチブック、次々に展開した彼の筆を追いかけます。
